NOLA.com : ORDERED OUT
Remaining N.O. residents told to leave because of risk of fire, disease
Mayor Ray Nagin on Tuesday ordered all remaining New Orleans residents out of the city to escape sporadic fires and the growing threat of disease from standing water contaminated by toxic chemicals and rotting corpses.CNN.co.jp : ニューオーリンズ市長、残留市民の強制退去を命令
Meanwhile, an Army Corps of Engineers official said it could take 80 days to pump out the billions of gallons of water that Hurricane Katrina poured into the New Orleans area Aug. 29.
(ネーギン市長)「自宅に残りたい、ニューオーリンズを離れたくないという気持ちはよくわかる。自分も、自宅に戻りたいという気持ちを懸命に抑えてきた。私の家は水につかっている。しかし状況はまだきわめて不安定だ。水には油が浮かんでいるし、ぶくぶくと泡立っているのはそこでガスが漏れているからだ。もし引火したら、とんでもないことになる」
長引けば本当の強制退去、つまり銃口を向け無理矢理ひっぺがして退去させることになるだろう。悲しいことだ。
略奪から家を守りたい人。ペットを置き去りにしたくない人。老人がいて簡単に逃げられない人。車も家の保険も健康保険も無い人。避難後の生活に不安を持つ人。
その現場に立ち会ったり、自分がその立場に立たないと本当の実感は得られないのだと思うが、極限状態に陥ったとき、自分が建てたり生涯最大の買い物として得たかけがえの無い家を離れたくない(アメリカではわりと簡単に家を買い替えるので日本人が持ってるほどの感慨は平均的には無いのかもしれないが)、という思いが自分や家族の命を守らなければ、という気持ちを上回ってしまうのか、それとも「なんとかなる」「うちに限っては大丈夫」という気持ちになってしまうのか・・・
昔、メリル・ストリープ主演の「ソフィーの選択」という映画を見て考えさせられたことがある。子供を2人連れたユダヤ人の母親が、アウシュビッツで『子供を一人だけ選べ、選ばなければ二人とも焼却炉行きだ』とナチスに迫られ、下の娘を「選んで」渡してしまうストーリーである。
その後、このストリープ演じるところの女性は、この極限状態でしてしまった「選択」に一生苛まれることになるのだが、災害にしても戦争にしても何にしても、このような極限状態に置かれたときに、自分は果たして禍根を残さない判断が出来るのかどうか・・・
少なくとも、ある程度予測ができる災害に関しては、何よりも一番大事なものを守る選択をすぐにできるよう、心の準備をできる限りしておきたい。
今回の台風14号「ナービー」でも、残念なことに、避難勧告が事前に出なかったり、出ても逃げずに土砂崩れに巻き込まれてしまった
asahi.com: 台風14号、死者・不明27人に 目立つ高齢者
今回、5人の死者・不明者が出た宮崎県高千穂町が避難勧告を出したのは災害発生の後だった。町の担当者は「危険な地域には勧告の前から自主避難するよう呼びかけたが応じてもらえなかった」と話している。2人が死亡した三股町は避難勧告を出していない。町は「砂防工事もしてあり、大丈夫と思った」という。十分な災害予防体制を取ることはもちろん重要だが、やっぱり実際に行動できるレベルに自分を置くまで行かないと意味が無い。いくら災害予測図などの地図があっても、いくら情報があっても、実際に行動を起こせなければ本当に意味が無い。
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「住民を守る」という視点だけでなく、住民が自ら判断できる情報を出すことも重要だ。自分の住む街で、どれだけの雨が降ると浸水の恐れがあるのか。どの傾斜地が土砂災害の危険が高いのか。ハザードマップ(災害予測図)や防災情報を積極的に住民に示し、住民自らが避難を判断できる環境を整えてこそ、避難勧告が生きてくる。
大雨や洪水などの警報も「危険度」がわかると理解しやすい。かつて、「最も強い警報にあたるスーパー警報を作ったらどうか」という議論もあった。「洪水危険度5」など一目でわかる情報の出し方を検討すべき時期に来ている。
と思っていたら、サイバーケンセツコンサルタントさんにこんなエントリーが。
サイバーケンセツコンサルタント : GISを構築、そして行動
(京大防災研の林春男氏の講演で)新潟県中越地震復旧・復興GISプロジェクトや罹(り)災証明書発行時のGIS活用事例についての話が中心であったが、目から鱗が7〜8枚は落ちたと思う。
あのアメリカのハリケーン「カトリーナ」に関しても言及しており、FEMAの公開している被災マップを見ながら、こうして情報を共有することも大事だが、これを持って現地に入っていく人がいない、ということを言っていた。
GISに関わらずITは所詮単なる「技術」でしかなく、その技術を使って何をするかを考えることが肝心であり面白いところ。
中越でも、GISを使って現地で走り回った人がいたからそれが活躍したのであって、「GISを構築、そして行動」という流れが大事なんだ。
全くの同感である。その林氏の講演がほんとに聞きたかった・・・せめて講演資料だけでも公開してほしい。
※追記
今日のNHK のクローズアップ現代のハリケーン・カトリーナ特集で、この林氏がゲストで出演されています。
深夜にBS2で再放送がありますので、ぜひご覧ください。
クローズアップ現代 Gコード(2505243)
放送日時: 9/8(木) 23:55〜01:05 NHK衛星第2
▽最大風速70メートルの恐怖 ▽街を壊滅させた高潮 ▽40万人避難先の惨状 ▽遅れた対応・防災先進地の誤算 ▽ブッシュ批判高まる
自分も、単なる技術や情報の紹介ではなく、実際に役に立つもの、行動につながるものを中心に情報発信して行ければと思う。そして、自分や身の回りを守れるように役立てたいと思う。
そんなことを考えている間に、また台風が来ている・・・しかも衆院選の投票日に直撃の可能性が・・・
デジタル台風:2005年台風15号(カーヌン|KHANUN)
台風15号接近の沖縄、一部地域の衆院選投票繰り延べを検討(読売新聞)
ブクブク泡だっているの、下水が上がっているのだと思っていたらガスだったんですね・・・。一刻も早く全員が避難してほしいと願います。
実際、私自身もまだ行動まで至っていないもので、これを機にどうやって「行動につなげて行くか」ということを考えて、いや体を動かしてみたいという衝動に駆られています。
実は、GoogleMapsをきっかけに生まれたネットワークが次第に...というのも素敵だなと思っているんです。
災害対策にも「事前の対策(防災)」と「事後の対処(復旧・復興)」という2つのステージがあって、事前の情報提供とかを中心とした防災目的の活動なら何か出来そうな予感がしていて。
また良い情報があったらお互いに発信していきましょう。
今後ともよろしくお願いします。
>マメリカさん
本当に危険ですよね・・・ですが、家を離れたくない気持ちもわかります。
でも、この極限状態で正常な判断をできるかどうかが本当に問題ですね・・・
>港湾マスターさん
自分も全く同じ思いです。カトリーナに関しては、寄付も含めて、まだコンピュータに向かいコミュニケーションすることでしか何かできないことがもどかしいです。地図を持って現場に出たい気持ちは強いのですが、医療・介護とかの専門性のない自分が現場で役に立つとは思えず・・・でも、何かフもっと具体的なことで復興にかかわれることはないかといろいろ情報を探しています。
昨日のクローズアップ現代で京大災害研の林先生もPre/Postの話は言及してましたが、Preの中でも今まさに災害が起ころうとしている状況でいろいろ先手を打っていくところの仕組みやリソースが準備されることが一番必要だ、とおっしゃってました。
それを考えると、まさにそんな状態で判断を助けるような仕組みで Google Maps 他の技術が生かせればいいなと、話を聞いて思いました。
またちょっとブログのエントリーにまとめますが、いろいろ考えさせられました。