2005年09月02日

メディアとしての地図

以前に Uz さんに教えていただいたHOW TO LIE WITH MAPS 地図は嘘つきである」が amazon.com から届いた。Mark Monmonier というアメリカの地理学者が書いた本である、

earthhopper: 地図は嘘つきである



今読んでいる本があと1章なので、それを読了してから取り掛かろうと思っているが、パラパラとめくってみると、いろいろな角度から地図の持つ情報への接し方を論じていて、なかなか面白そうである。扉の部分にあるイントロが非常に的確なので全文引用してみる。
 地図は正しい、と信じていませんか。

「96分でいける」行楽地。レストラン店舗網の「全国展開」。「便利な」私鉄沿線住宅地。「適正なる」土地評価額。「緑ゆたかな」都市計画。地図には実は、嘘がいっぱい隠されているのです。
 無意識のまちがい、意図的ないたずら、巧みな情報操作。現実の世界を地図という平面におきかえるとき、「嘘」はうまれる。
 鉄道地図、広告地図、郵便料金地図、コンピュータ地図、・時の地図、そして架空の地図・・・。見えない嘘のかしこい見ぬき方から、抜け目ない地図の作り方まで。気鋭の地理学者による、新鮮な発見にみちた正しい地図の読み方・つくり方。


自分のようなただの地図好きで地図情報を鵜呑みにしてしまいがちな人間はもちろん、地図製作に携わるプロの人にとっても新たな発見がありそうな本だ。感想はまた読了後に。

実際、地図はあまりにも具体的な情報であり、絵図と位置情報に、家とか店とかのコンテンツの写真に甘言を載せて示されたら、本当に信じてしまいやすい。賊星写真なんか載せようものならイチコロである。

地図にしろ文章にしろ何でも、表現の自由にはそれを裏打つ多大な責任が伴うのは当然である。でも、上の「地図は嘘つきである」のイントロで言っているように、どのような背景あれ地図上の「嘘」によって損害を被っても「当地図の情報を利用したことに起因する如何なる損害にも一切の責を負いません」と免責されていたら文句の持って行き場がない。結局信じたものの自己責任になってしまう場合が多々あるだろう。

つまり、地図といっても特別ではなく、やはり通常のメディアと同じなのである。受け手側がその情報を読み解く確かな目を持ち、リタラシーを向上させていく以外に道はないのだと思う。いろいろな付加価値を持った地図がたくさん出てくればなおのこと、その地図やその上の情報が、どのような意図を持って作られたのかを見抜く力を養い、自分の判断で行動することが必要である。これは、テレビや新聞などのメディアに触れるときに必要な姿勢となんら変わりないだろう。

今回のハリケーン・カトリーナの被害にあっている地獄の現場でも、救援物資と同様に足りないのは情報なのだと思う。一体どこに行けばいいのか。どこに逃げればいいのか。どこに食べ物と水があるのか。どこに薬があるのか。どこに医師がいるのか。そんな状況で情報がなくて逃げなかった人たちが被災したり、またその人たちが救援が得られない。そんな極限状態で情報が出てきたら、文字通り藁をもすがることなってしまうわけで、そこに「嘘」があったらたまったものではない。

たとえば以前に紹介した、下のカトリーナの被害状況を書き込む Google Maps を応用した地図も、一体どこからどこまでは本当なんだか、誰も担保も保障もしてくれないし、信じる場合はもう書き込んでくれた人の善意と良心に頼るしかないわけだ。

Katrina Information Map
Disclaimer: There are no promises that the information on this site is accurate. Anyone with internet access can add whatever they want to this map, and the only control over the content of the markers is the good will of people trying to help in this time of trouble.

(9/4 追記: タイムスタンプが入り、以前につけたマーカーの内容を修正できるようになった。また、Katrina の被害状況の衛星写真も見られる。上は新しいスクリーンショット)

地図である無しにかかわらず、難しい問題だと思う。

もちろん、地図を駆使した情報提供の有用性・有効性は疑うべくもなくすばらしいものがある。今までにない価値や便利さ、楽しさを生むことができることは、これまでいろいろ紹介してきた利用例を見るまでもなく、間違いのないことだ。

その新しい価値の創造や利便性の向上と、地図情報をどう使いどう接したらよいのかというリタラシーの向上の両方を、常にバランスをとって進めていかなければならないと思う。

【Uzlog】: Web型地図サービスにおける表記問題
地図やGISの良いとこ悪いとこ、そういった点は常に意識していたいものです。もちろん、せっかくついた火(地図サービス展開の流れ)を消すことなく…。


まったく同感である。
posted by nagoyan at 23:50| Comment(0) | TrackBack(1) | Google Maps | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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