ウルトラマンでは「故郷は地球」。怪獣になってしまった不運の宇宙飛行士、ジャミラの物語が感慨深い。
23.故郷は地球
それはソ連、アメリカを中心に宇宙競争はなやかなころであった。ある国がうちあげた人間衛星がついに帰ってこないという事件があった。その時の宇宙飛行士の名前がジャミラだったのである。
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「その通りです。ムッシュームラマツ。おそらく彼は十年以上かけて自分の乗ったロケットを改造したのでしょう。そして地球へ帰ってきたのです。地球の全人類に対するウラミと呪いの心だケーデ」「おれ、やめた。ジャミラと戦うのはやめた」「何言ってるんだイデ」「はなせよ。よく考えてみろよ。ジャミラは俺たちの先輩じゃないか。」
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ジャミラは炎を吐いて、あたりの民家を火達磨にする。「ちきしょう。ジャミラ。お前はもう人間らしい心をなくしちまったのかよ!!」と叫ぶイデ。
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「ジャミラ。許してくれ。だけどいいだろう。こうして地球の土になれるんだから。お前の故郷。地球の土だよ」ムラマツのレクイエム。ジャミラの墓碑銘にはこう刻まれてあった。「人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂ここに眠る」国際平和会議は始まる。墓碑銘を見つめ続けるイデ。仲間の呼ぶ声も聞こえない。「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど」イデは心の中で血のような絶叫を漏らすのであった。
そしてウルトラセブンでは、「ノンマルトの使者」「狙われた街」「円盤が来た」なども印象深いが、キングジョーが登場する、神戸を舞台にした「ウルトラ警備隊西へ」より。
「地球人は、ペダン星を侵略するつもりはないんだ。…あのロケットは、単なる観測ロケットだったんだ!」(ダン)
「観測?ふん、いかにも、立派な名目だわ。でも、何のための、観測なの?…それは、いずれ自分たちが、利用するために、やっていること。
その手には、のらないわ…」(にせドロシー)
「そうじゃない!我々地球防衛軍の本当の目的は、宇宙全体の平和なのだ!」(ダン)
「そう考えているのはウルトラセブン、あなただけよ」(にせドロシー)
先日の Deep Impact のニュースを聞いて、すぐにこの有名なストーリーを思い出した人も少なくないはずだ。
こんなストーリーと映像が、アポロが月に飛ぶか飛ばないかのころに作られていたというのは、今にして驚くほかないが、ウルトラマンやウルトラセブンを作った人々は、今ごろはもう人類も自由に宇宙を行き来し、移住を始めたりしているだろうと思っていたに違いない。
どの世界でもある話だと思うが、(特に子供のころから)あこがれて飛び込んだ世界の現実を知り幻滅する。信念を貫いてその中で生きていく人もいれば、自分にあった世界を探して飛び出していく人もいる。何が正しくて何が間違っているかなど、自分自身に対してしかはかることはできないだろうけれど、そこに理想と現実のギャップつがあることは間違いないだろう。
宇宙開発が単なる未知なるフロンティアへの挑戦ではなく、将来にわたった途方もない経済的な既得権益や軍事的な覇権を賭けたものであることは言うまでもない。減らされているとはいえ、見返りも期待せずに膨大な予算がつけられるわけがない。アポロに始まり、1986年のチャレンジャー、2003年のコロンビアの事故も乗り越え、目的に向かって突き進んでいく。
今日のディスカバリーの打ち上げ成功で、テレビでインタビューを受けていた、野口飛行士の故郷の茅ヶ崎の子供たちがいつそんな現実を思い知らさせるのか、とふと思った。やたら大人な受け答えをしていたし・・・
それでも、宇宙には果てしない魅力がある。それは間違いない。
野口飛行士は、故郷の町をいまごろ、どんな風に眺めているだろうか。
ちなみに、ディスカバリーは今、この辺を飛んでいます。
追記:
flickr で "spaceshuttle" でタグ検索すると、ディスカバリー打ち上げの機体やロケット雲(?)を写した写真がいっぱい出てくる。
flickr.com : Tags / spaceshuttle
トラックバックありがとうございます!
NASA TVの生中継に、期待と心配で目が放せませんでした。
クルーのミッションの成功と、無事の帰還を願います!!
ぜひまたひかり荘に遊びに来てくださいね!!
TB二つつけてしまいました〜
削除をおねがいします(^^;)